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農業機械メンテナンスナビ共通メンテナンス項目タイヤの空気圧点検・補充>農業機械のパンク修理
 農業機械や農機具のタイヤの多くは内部にチューブが入ったチューブタイヤが使用されています。小型のタイヤであればパッチラバーを貼る修理やチューブ交換を行うことで修理することができます。
チューブタイヤのパンク修理
 農業機械であってもチューブタイヤであれば基本的に自転車と同様の作業でパンク修理を行うことができます。
 しかし、自転車と比べてタイヤが太く丈夫なため、作業では大きな力が必要となり、用いる工具も大きなものが必要となります。

パンク修理の交換用具
・自転車パンク修理用のキット
 ゴムのり、サンドペーパー、パッチゴム、タイヤレバー(プラスチック製)が入った一般的な自転車用のセットです。
・バール、メガネレンチ(コンビネーションレンチ)
 大きいタイヤレバーの手持ちがなかったための代用品です。自転車用のタイヤレバーでは小さく物によっては強度が不足するため、タイヤレバーの代用に使用します。力を加えるためそれながの長さがあり、丈夫で先端が尖っていない工具が必要です。バールの先端は尖っているため使用には特に注意が必要でありお勧めできません。
 タイヤレバーはタイヤサイズに比例して大きな物が必要となります。本ページの修理しているタイヤは外径約30cm。タイヤレバーは30cm程の物があると作業し易く、作業後に次回に備えて購入しています。
・ゴムハンマー
 ゴムパッチの圧着に使用します。無くても可能です。
・空気入れ、エアーゲージ
 穴の確認や作業後にエアーを入れます。
・水を入れる容器(バケツや深さのあるプラスチック容器)
 チューブを沈めて空気漏れの確認に使用します。
・ダクトテープ
 タイヤにひび割れや穴があった時の補修に使用します。
・当てゴム
 タイヤにひび割れや穴があった時の補修に使用します。自転車の廃タイヤを切断して使用することもできます。

農業機械のパンク修理の方法

  • パンク修理の資器材
  • ・資器材一式
    ・バール、コンビネーションレンチ(大きめのタイヤレバーがなかっための代用品として使用します。次回用に備え容易したタイヤレバーはページ下部に掲載しています。)
    ・空気入れ、エアーゲージ
    ・自転車用パンク修理キット
    ・ダクトテープ
    ・当てゴム
    ・ラバーハンマー
  • 修理するパンクしたタイヤ
  • ・修理するパンクしたタイヤ

     パンクしたマルチ散布機KT-60のタイヤ(4.10/3.5-6)、チューブタイヤで外径約30cmです。タイヤ表面にひび割れがあり、ひび割れの箇所の内部でチューブに穴が開いているようです。

  • タイヤの取外し
  • ・タイヤの取外し

     パンクしたタイヤを取外し農機から取り外します。

  • タイヤのエアー抜き
  • ・タイヤのエアー抜き
     内部のチューブを出すためチューブ内部の空気を抜きます。エアーバルブの中の突起を抑えると空気がでるため、突起を抑えながらタイヤ表面を足で潰して可能な範囲で空気を抜きます。※1タイヤのエアー抜きについて
  • タイヤ外し1
  • ・タイヤ外し1
     タイヤとリムの間にタイヤレバーを差し込み、引き起こすようにして梃子の原理でタイヤの片側を外します。
     タイヤ大きいほど必要となる力も大きくなるため、比例してタイヤレバーも大きくなります。
     写真での自転車用のタイヤレバーのため、能力的にかなり無理がありました。
  • タイヤ外し2
  • ・タイヤ外し2
     1本目のタイヤレバーから離れたところに2本目のタイヤレバーを差し込みます。
     丁度よい大きさのタイヤレバーがないため、コンビネーションレンチのメガネ部分を代用して差し込み作業しています。
  • リムとタイヤに差し込む状態
  • ・リムとタイヤに差し込んだ状態
     タイヤレバーの代わりにバールを用いてリムとタイヤの間にバールを差し込んだ状態です。
     バールは先端に角がある為、先端部にダクトテープを巻き、作業も特に注意しないとタイヤやチューブを傷付けてパンクが悪化します。
     手持ちの自転車用のタイヤレバーで力が不足する場合は、このように作業する予定でした。
  • チューブを引き出す
  • ・チューブを引き出す
     外したタイヤとホイール間からチューブを引き出します。内部にエアーが残っていると引き出し難いため、適時バルブ先端の突起を押し、エアーを出しながらチューブを引き出します。
  • 空気漏れの確認
  • ・空気漏れの確認
     チューブにエアーを入れて空気漏れを確認します。見るからに大きな穴や損傷がある場合には、チューブの交換を検討します。
  • 空気漏れの確認(水)
  • ・空気漏れの確認(水)
     空気を入れたチューブを水に沈めてエアー漏れを確認します。水の中であれば少量のエアー漏れも簡単に確認することが出来ます。
  • 穴のマーキング
  • ・穴のマーキング
     水から出すと穴の場所が判らなくため、表面の水気を拭き取り、赤マジック等で穴の部分に印をつけます。
  • チューブのエアー抜き
  • ・チューブのエアー抜き
     パンク修理を行うため、タイヤの空気を抜きます。写真ではバルブ先端を抑えながら足でチューブを踏み、空気を抜いています。
  • パッチゴムのサイズ確認
  • ・パッチゴムのサイズ確認
     チューブの穴に補修材のパッチゴムを当ててサイズを確認します。
  • チューブのヤスリがけ
  • ・チューブのヤスリがけ
     サンドペーパーでチューブを擦り表面を荒らします。表円を荒らす面積はパッチゴムより大きく行います。
  • ゴムのりの塗り付け
  • ・ゴムのりの塗り付け
     ゴムのりをヤスリで荒らした箇所(パッチゴムより大きく)に薄く均一に塗り、良く乾かします。
     薄く塗って3~5分程度放置すると完全に乾きます。
  • ゴムパッチの貼付け
  • ・ゴムパッチの貼付け
     ゴムパッチの銀シールを剥がします。剥がした箇所が接着面となるため触れたりゴミが付かないように注意して、ゴムのリを塗った範囲に収まるように貼り付けます。
  • ゴムシールの圧着
  • ・ゴムシールの圧着
     貼り付けたゴムパッチを圧着します。写真ではラバーハンマーで強く押し付けています。抑えるものがなければ、タイヤレバーの背を押し当てても圧着出来ます。
  • 保護シートを剥がす
  • ・保護シートを剥がす
     ゴムパッチ表面に貼られた透明なシートを剥がします。
  • 修理後の空気漏れの確認
  • ・修理後の空気漏れの確認
     ゴムパッチによりパンクが塞がったかを確認するため、チューブに空気を入れます。
  • 修理後の空気漏れの確認(水)
  • ・修理後の空気漏れの確認(水)
     水に沈めてゴムパッチ周囲からの空気漏れがないかを確認します。また、修理部以外(バルブ部を含む)からも空気漏れがないかを再度確認します。
  • チューブのエアー抜き
  • ・チューブのエアー抜き
     タイヤとホイールに収めるためタイヤの空気を抜きます。
  • タイヤの確認
  • ・タイヤの確認
     パンクに至った原因を確認するため、タイヤの内側を一回り撫でて異常を確認します。素手では怪我をする恐れがあるため、確認作業では手袋を着用します。釘等の異物が刺さっていれば除去を行います。
  • タイヤの補修
  • ・タイヤの補修※2
     タイヤが劣化によりひび割れ穴が開いていたため、穴を塞ぐため内側から当てゴムをあて、更にダクトテープを当てゴムの固定をかね、重ねて貼ります。
  • チューブの取付
  • ・チューブの取付
     エアーバルブとホイールのバルブ穴の位置を合わせてチューブをタイヤの中に入れます。
     チューブを傷付けたり、捻じれたりしないように全体をタイヤ内部に納めます。
  • タイヤの組付け
  • ・タイヤの組付け
     取外しと逆の要領でホイールにタイヤを組付けます。
  • 空気入れを位置調整
  • ・空気入れの位置調整
     エアーを入れながらチューブについたバルブとホイールのバルブ穴が干渉して無理がないよう、タイヤをずらす等してチューブとホイールの位置の微調整を行いながら空気を入れればパンク修理が完了です。
     パンク修理したタイヤは元のように農機に取付け修理が完了です。
  • タイヤレバー
  • ・タイヤレバー
     次回作業用に購入したタイヤレバーです。
     写真左 長さ約30cm、クロムバナジウム鋼性の汎用品。2本で1,000円程で購入できます。
     写真右 本作業で使用した自転車用です。
※1 タイヤのエアー抜き
 タイヤ(チューブ)のエアー抜きでは、バルブの先端の突起を押すことで弁が開き内部のエアーを抜くことが出来ます。
 突起部分はバルブコアという部品であり、これを外してもエアーを抜くことができます。バルブコアはバルブコアドライバー(コア回し)を使用することで簡単に取り外すことできます。取外し方法については「タイヤのバルブコアの交換」を参考にして下さい。

※1 タイヤの補修について
 タイヤのひび割れによる穴あきは、基本的にタイヤ交換が必要となる状態です。
 本件の修理では手押し農機のタイヤであり、タイヤへの負荷も小さいことから当てゴムとダクトテープで修理を行っています。本修理方法は、負荷が小さい使用での応急的な修理となります。

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